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Shangri-la  絵が描ければそこは楽園
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僕とオカンみたいな弟・中
南極兄弟24Hのお話[中]です。
加筆してたら長くなったので前後ではなく上中下になりました。

PIYOの落書きツールで2008・09・18に描いたものが素でここまで話がでかくなりました。

ジロさんも若干モデルチェンジwww
snap_kagura467_200894155954_20080918160534.jpg

では、追記へどうぞ♪
※イラストは後日追加します。ペコリ2008・12.06現在

AM6:30

アラームが鳴ったと同時にすーっと手がのびアラームボタンを押す。
「・・・・」
(あのまま放置してたがまた再開してるんだろうか・・・)
部屋のドアをあけるとリビングはカーテンが光を遮断し薄暗く静かなままだった。

ヒタヒタと裸足のままテレビの前に向かうとソファの上で丸くなって寝ているタロがいた。
窓の方を見る。この体制だとカーテン開けたらまぶしいよな・・・さすがに秋でも暑いし。
(・・・朝飯食べるのか?)

そのまま寝かせておくことにし、キッチン照明だけつけコーヒー淹れる。
「ん?」
食器棚のガラスに映った自分の頭に寝癖が・・・。
正規の出勤ではないがこれはどうだろう
(兄さんじゃなんだから・・・)
腑に落ちない顔つきでシャワールームへ静かに向かう。


AM7:00

そこら中にコーヒーの香りが漂う。
シャワーから戻りジロはカップに入れブラックのまま飲む。

「ン!ウウ・・・・ヌ!」
その妙な発声とともにソファの背もたれからビョンと二本の腕と二本の脚が生えたように伸びる。
「あ?」
むくりと起き上がり座ったままタロはなぜ自分がココで寝ているのかうつむいて考えた。
「ああああ!!」
思い出した。
首だけジロのほうに向き上目使いで
「おはようオカン、オレにもコーヒーくれよ」
睨んでいるがアホ毛がビョンと。

無言でもう一つのカップを出し3分の1注ぎ、冷蔵庫から牛乳を足す。
「・・・はい」
こっちで飲めと言わんばかりにテーブルのほうに置く。

毛布を除けソファを乗り越え、イスにドスッと座り肩肘を背もたれにのせる。
テーブルにあるカップを持ち、わざとズーズー音をたて飲み始める。
機嫌が悪い。
仏頂面のタロを尻目にカーテンを開け放つ。雲ひとつない夏日のようないい天気だ。・・・まだ暑くなりそうだ。

タロはテーブルの奥にあった灰皿とタバコを腕だけ伸ばし引き寄せ、火をつけ一息フウと吐き出し体育すわりで小さくなる。壁の時計を見て
(あーれー?いつもより早いか?)
タバコの煙をくゆらせ、何気に
「どっか行くのかー?」

(やはり覚えてない・・・夕べ言ったはずだが・・・あの時点で上の空だったのか?)
やっぱり聞いてない愚兄の背中を睨みつける。
当人はのん気に煙の行き先を目で追う。その殺気立った視線は痛くないらしい。
「・・・今日サンプルが届くから午前中だけ研究室に行ってくる」
夕べ伝えたことはなかったことにしよう。
「ふーん、送っていこうか?」

「いいよ別に」

灰皿にタバコを押し消す。
「今日、ガソリン入れなきゃなんねえし、何時?」
「・・・8時半までには会社に着きたい」


残りのコーヒー牛乳をゴクリの飲み干し
「ん。わかった。じゃあ飯。さあ、顔洗ってくるかー・・・」


AM7:50

ジロはマンション中央の生垣の前に立つ。
マンション下にはコンビニがあり、店員が外の掃除をしている。
店員が気づいて
「おはようございます、おでかけですか?」
いつも声をかけてくる人懐こい店員だ、タロと仲良くしている学生。
「え、あ・・おはようございます。・・・仕事で」
ああ、仕事らしくない格好だったかと自分の着ているものを確認する。
(・・・兄さん遅いんだけど)
コンビニの前で待つようにと指示しタロは一人裏の駐車場へ

その時、
裏から重低音の響き渡るエンジン音が。
(サイレンサー外してて遅くなったのか!!!)

マンションの住人で一人うるさい主婦がいるのだが、兄が居座りあの車を持ってきた時、
轟音だの子供に悪影響だの、即クレームにやってきたのだが、兄が直接交渉に行き、夜はサイレンサー付けて走行すればいいと、丸めこんできたらしい。
「あ、お兄さんですね相変わらずいい音だオレもこんなの乗りたいなー」
コンビニの店員がニコニコと笑ってる。この一帯で有名になってしまった。
その爆音が徐々に近づいてくる。
S15後期型。2002夏に売られたものを中古で購入。今でもキレイなままだ。メタリックがまぶしい。
キキッと目の前に止まり、運転席のタロはにやけている。
ドッドッドッドッ・・・・・アイドリングすらうるさい。
「お気をつけてー」
店員がニコニコ手を振る。
運転席のタロはニコリと手を上げ、あきれてるジロの方に目をむけ早く乗れと視線で助手席に促す。
「・・・」
無言でドアを開けバケットシートに体をうずめる。シートベルトを装着するかしないうちに走り出した。

AM8:20
社屋・・・さすがに土曜日は全休に近いのでひっそりとしている
そこに守衛室の前に一台の車が。
運転席の窓が開き、
「おはよう森さん」
森さんと呼ばれた初老の男性が振り向き
「おはようさん、えらいうるさい車がきたと思ったらアンタかい」
ニコニコと笑う。

「今日は弟のパシリ」
こき使われちゃって~♪とか言ってるが。
助手席のジロがむっとする。
(こっちからたのんだわけではないのに)
続けてタロは構内のほとんど空いている駐車場をチラリとみながら
「森さん、今日長老方だれかいる?」
「おらんよ?重役さんらはゴルフじゃないかね?」
ここでなぜタロがにやりと笑う。
ジロは察しが付いた・・・
「ココで降りる」
言いながらドアを開け
「昼飯はテキトーに食っててよ1時は過ぎるから、じゃあ」

「わかった、じゃあな!」
車は出口ではなく中の駐車場へ・・・

タイヤ止めもないもないラインだけひいただけの更地のような駐車場でタイヤ鳴らしながらドリフトはじめた・・・
「兄さんはいつもげんきだなー・・・アンタもやるのかい?あんなこと」
森さんはまるで孫を見てるかのように微笑んでいる。
「あんなバカなことなんかしないって」
「だろうね」いつまでもニコニコしている。
「アンタもごくろうさんなこった」と付け加えた。
ジロは笑って
「はい」

キキキキうるさい駐車場横目に社屋に入ろうと裏口へ向かう。
ジロがノブに手をかけた時
プアァァァンとフォンを鳴らしタイヤのスリップ痕を残し門を出て行った
「足回りサイコー♪」
カーステから流れる曲に合わせて鼻歌のタロ。
今度は雪降ったらやろう、と決めた。
(タイヤの減り少なくなるしー♪)
「さあて、続きやっちゃおうかなー・・・さて、今日のpartyは派手にいくぜ!」
車はさらに爆音立てて工業団地の“センター”と呼ばれる中央の大通りを消えく。

PM12:15
帰宅してからテレビに向かいゲームやりっぱなしのタロ。
主が不在なのをいいことに座り込んでいる周りにはケータイやらペットボトル、灰皿、タバコ・・・
(・・・いい加減腹減ったな・・・)
ある程度クリアした様子。
昼は過ぎた・・・下のコンビニに言ってなにか買うか・・・ジロを待つか・・・。

足元にあったケータイを持ちメールを打つ。
***************
宛先:ジロ
題名:

本文

   腹減った



***************


研究室

「赤城さーん、電話なってますけど?」
内線でデスク側からアナウンスが。
白衣の若い男がこちらを見ながら机を指差す。デスクに置きっ放しだった。
「今行く」
(そろそろ帰るか・・・)
奥からドアを開け自分のデスクに向かう。
ケータイ開き
(メール?)
表情変わらぬまま開いて見たか見ないかの一秒で閉じ手荒に放り投げる。
デスクにゴンと鈍い音が。
「あ・あ・あ・・・あ・赤城さん?」
隣の席で様子を見てた男はなにか余計なことしたのか気まずそうに尋ねる。
「あ、いやなんでもない」
「終わったら先帰ってていいから」と後ろ手で振りまた奥の部屋に篭る。

「は、はあ・・・」
いったいどんな内容で機嫌悪くなった判らぬままポカーンとしていた。

ジロは一人残って作業していた

もうすぐ1時か・・・白衣を脱ぎ、
兄は諦めて先に済ませただろうか
放り投げてたケータイに着信のランプが点滅している。

本文“飯まだ~?(゜д゜)”

「あー、はいはい・・・」
ハァと大きなため息ついて研究室を出て、カギを締めた。


PM13:30
(・・・なんだこのあり様は・・・・)
ジロはリビングで買い物袋を両手に持ったまま立ち尽くした。

予想はしていたもののテレビの前の散らかり様・・・腹減ったとメールを打った本人はその中央に寝入っている。
「・・・・」
その脇を抜けキッチンのほうへ向かう。
鍋に水を流し入れる・・・いつもより荒々しく水しぶきがあちこちに飛んだ。
手馴れたジロの手料理はタロが褒めるだけの早さと味である。
二人分できた。
一方兄のタロはまだ眠ったままだ。

「・・・さてと・・・」
テーブルに二人分対面に置き、そのままタロの元に近づく。
そしておもむろに足でタロの肩をグイグイと揺さぶる。
「兄さん飯。」
揺さぶられて起きたタロ・・・見上げると自分の肩に足をのせている弟の姿が。顔の表情は見えずともなにか機嫌がよろしくないご様子がわかる。
「あ・・・・!」
自分の周りを見渡した。兎に角メンドクサイので必要なものを自分の周りに並べまくったままだった。
がばっと起き上がり正座し
「おかえりなさいませジロさん、いー・・・い・いいい今片付けます!」
ソソクサと灰皿とタバコ、ペットボトルその他もろもろ。
タロを中心にドーナツ状に散らかってたモノはすべて片付いた。
立ち上がってジロの目の前に立ち
「ドモすみませんでした!」
と一礼。
「・・・冷めるから早く食べなよ」
ああ、母親のきもちがよくわかる。

幼い頃母を困らせては怒られ、けれど数分後には母にくっ付いてる兄。

そして、学習能力がない・・・というか幼いときから変わらない。
「ああ!うまそー!ナニコレ!!!!」
ダダダダとテーブルに走りより
パンと手を合わせ、いただきます!と、がっつく。

その様子を見ながら笑い、指で眼鏡を押し上げ、一言
「・・・ガキ」


**********下へ続く

☆追記☆
事後説明

S15とは? 
私がモウレツに好きで好きで好きでたまらないSILVIAの最後の型です。
高級取りだったらいつかは新車でこれを買おうと思ってたら2002年8月でお別れでしたorz

サイレンサーとは?
オサレに言うとスポーツマフラー・・実際は轟音マフラー←偏見?www
・・の音をやわらげるパーツです。どっちかっつーと付いてるほうが余計なビリビリ音が少なくて私はかこいいと思う。





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2008'12'06(Sat)19:00 [ 妄想の絶壁 ] CM0. TB0 . TOP ▲
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